2014.06.102014 サッカーワールドカップ ブラジル開催記念 特別企画 「ブラジルと仏教展 一番遠くて近い国」
2014 サッカーワールドカップ ブラジル開催記念 特別企画
サッカーワールドカップの開催に湧くブラジル。
2016年にはオリンピックを控え、日本中、世界中の注目を集めています。
南米大陸の約半分を占める広大な国土は、世界第5位、日本の約23倍。
カラフルな国旗は、豊かな自然を表す緑、豊富な資源を表す黄、透き通った空を表す青、と言われます。
私たち日本人にとって遙か2万キロ離れたブラジルは、地球を半周した正反対にある、最も遠い国のひとつです。
サッカー王国、サトウキビやコーヒー、サンバやボサノバ、
カーニバルなど、様々なイメージが浮かびますが、
決して忘れてはならない事実があります。
それは、世界最大、150万人に及ぶ同胞、日系移民を擁する国であるということです。
最も遠い国に、日系人が150万人も暮らしている。
その人たちは、多種多様な民族や文化が渦巻くブラジルの中で、 誰よりも力強く生き、その強靱さで尊敬を集めている。
はたして想像できるでしょうか。
ブラジルは、もっとも遠くにありますが、
実は日本に最も関係の深い国なのです。
始まりは、今から106年前、明治41(1908)年に神戸港を出発した781人の日本人移民でした。
新天地への移民を企画したのは、水野龍という人物です。 本門佛立宗の信徒であった彼は、過酷な開拓生活に
信仰の力は欠かせないと考え、僧侶の同行を求めました。
これに応えて第一回移民船・笠戸丸に乗船したのが、当時22才の青年僧・茨木現樹、後の茨木日水でした。
移民たちの生活は熾烈を極めました。夢は血と汗の中に消え、
わずかな希望も照りつける太陽によって渇いてゆくようでした。
しかし、彼らは決して立ち止まることなく、この南米の大地に確固たる足跡を刻んでゆきました。
今では、「日本人が来てくれたからこそ豊かな国となった」
「日本人に任せておけば大丈夫」「ジャポネス・ガランチード=日本人なら信頼できる」という言葉もあるほど、
日系人はブラジル社会に欠かせない存在となりました。
そのようになり得た理由の核心部には、辛酸極まる歴史の中でなお輝きを失わなかった、日本人の誇るべき徳性と精神性がありました。
そして仏教は、彼らの傍らで脈々と生き続け、その魂を支え続けてきたのです。
「ブラジルと仏教展」
第一回移民船・笠戸丸によって伝えられた仏教は、すでに「日系人の仏教」から「ブラジル人の仏教」へと広がり、人びとの心を照らしています。
ブラジル日系移民106年とはブラジル仏教伝来106年。その軌跡と現在を、ご覧いただきたいと思います。
ワールドカップ・イヤーである今年は、いろいろな場所で「ブラジル」という名を耳にするでしょう。
そんな時、どうか、はるか彼方のブラジルに、日本人の素晴らしいアイデンティティ、その誇りや喜びを見つけてください。
同時に、南米ブラジルに力強く息づく「仏教」という人類普遍の思想について思いを新たにしてください。
サッカーワールドカップを入り口に、ブラジルと日系人の歴史、その未来を、仏教の視点から見つめます。
期間 2014年6月10日(火)~ 2015年2月1日(日)
開館時間 平日 10時~16時 土日祝 10時~17時
※但し、月曜日が祝祭日及び25日のときは開館。翌日を代休日とします。
入場料 無料
MUSEU DO FUTEBOL
(ブラジル・サンパウロ州立サッカーミュージアム)
MUSEU DO CAFÉ
(ブラジル・サントス・カフェミュージアム)
Museuda Imigração
(サンパウロ州立移民博物館)
ブラジル日本文化福祉協会
ブラジル日本移民史料館
サンパウロ人文科学研究所日本支部
財団法人日伯協会
「移住ミュージアム」
JICA横浜海外移住資料館
サンパウロ日伯援護協会
ブラジル仏教連合会
JORNAL ニッケイ新聞
株式会社シックス
UCCコーヒー博物館
カフェ―パウリスタ
国立国会図書館
外務省外交史料館
株式会社商船三井
広島県立文書館
箕面市役所
下薗昌記(サッカーライター)
本門佛立宗ブラジル教区
茨木日水ミュージアム
中牧弘允
(吹田市立博物館館長・国立民族学博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)
山崎圭一
(横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授)