2019.07.13~2020/02/16宮沢賢治と日蓮展
国民的詩人であり童話作家である宮沢賢治。しかし彼の作品は非常に難解であるともいわれます。それは賢治の作品が、科学、物理学、天文学、精神医学、地学、農学、音楽、美術などへの多様な興味から紡がれているところにあります。それぞれの学問の専門家は、それぞれの角度から賢治の作品を研究してきましたが、多くの研究者たちにとってその根本に流れるものは難解なものでした。
また賢治が信仰したといわれる宗教の側からも、さまざまな賢治分析が行われましたが、仏教者たちは賢治についてあまりに無知でありました。そのため賢治の作品の解釈は大変困難なものになりました。
賢治の捨身的社会奉仕、農民の友、科学者、地方詩人、菜食主義者、独身主義者、求道者という面にスポットライトは当てられても、仏教者宮沢賢治は埋もれたままでした。
一部研究者が賢治の信仰を認めたとしても、それは人生の中の一時期の「ファナティック」なものであり、最終的には信仰から離れていった、という見方がされました。しかし賢治の法華経・日蓮聖人への信仰は、最晩年の『雨ニモマケズ手帳』まで一貫したものだったのです。
当展示では、賢治の思想の基礎に日蓮聖人の教学があること、またその教学の作品への影響を解き明かし、さらに賢治を通して日蓮聖人の生涯・思想を示すものです。
賢治は 1921年2月上旬、親友である保阪嘉内あての手紙に「今月の十六日は大聖人御誕生七百年の大切な大切な日です。」と綴っています。あれから100年。日蓮聖人の御生誕800年を記念して、当企画展を開催させていただきます。
【宮沢賢治と日蓮展】
1. 宮沢賢治とは
2. 日蓮聖人とは
3. 賢治作品映像紙芝居
4. 賢治の絵
5. 「雨ニモマケズ手帳」のこと
6. 賢治のことば
7. 日蓮聖人と宮沢賢治の関係性
8. 日蓮聖人の手紙と賢治作品の符号
9. 賢治の最期賢治の最期
10. 絵で見る日蓮聖人の生涯
11. 日蓮聖人の優しさと厳しさ
12. 賢治と日蓮聖人が目指したもの
イーハトーブと寂光浄土
※展示期間中、これらの内容は変更することがございます。ご了承ください。
2019年7月13日(土)− 2020年2月16日(日)
京都佛立ミュージアム 「宮沢賢治と日蓮展」
開館時間:平日 10時—16時
土日祝 10時—17時 ※入館締切=閉館30分前
休館 月曜日
※但し、月曜日が祝祭日及び25日のときは開館、翌日代休。
入館料:無料 どなたでも自由にご観覧ください。
場所:京都市上京区御前通一条上る東竪町110
TEL:075-288-3344 www.hbsmuseum.jp
主催 京都佛立ミュージアム
協賛 本門佛立宗
後援 京都府、京都府教育委員会、京都新聞、
KBS京都、エフエム京都
協力 林風舎、宮沢賢治記念館、韮崎市教育委員会、
韮崎市ふるさと偉人資料館 (順不同)
【ポスター・チラシデザイン 塩澤文男】
1955年生まれ、アートディレクター、パーカッショニスト、画家。
多岐にわたる雑誌のアートディレクション経験のなか、スタジオボイスの誌面にて岡本太郎氏にインタビューを行い、
衝撃を受け画業へと向かう。神秘的でエネルギッシュな画風は多くのファンを惹きつけている。
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『宮沢賢治と日蓮展のポスター絵画制作に寄せて』
お釈迦様がお生まれになって2500年ほどになります。お釈迦様が悟りを開いた事で仏教と云う宗教が生まれ、インドから遠く離れた日本まで伝搬しました。仏教はもともと科学、哲学、心理学など全てを包括したコスモロジーを全体表現して日本人の心の拠り所として、我が国において様々な形体で表現され定着してきました。取り分け日蓮聖人の教えは我々人類がこの世を浄土にするための努力を怠ってはならないと云う基盤を元に構成されています。その教えに深く心酔し、それを文学表現の底本とし現代に広がりをもたせた作家が「宮沢賢治」であると私は認識致しております。人類全体に幸福が訪れない限り、個人の幸福などあり得ないとまで表現されていて、その深く強い信仰心は再誕信仰に程近く、今尚我々に多くの感動を与えて続けています。
『作画にあたって』
今回の絵は、日蓮聖人のお書きなられた文字曼荼羅をヒントに独自のインスピレーションと解釈で進めさせていただきました。賢治の心臓から白蓮華の花が咲き、中央に「旭ヶ森」にて、登る太陽に向かい「南無妙法蓮華経」を唱える32歳の決意の日蓮聖人のお姿、ひたいを横切る彗星は龍ノ口法難を表し、天の川は賢治の代表作「銀河鉄道の夜」を意味し、上部の太陽と白蓮華にて「日蓮」の名を表し、向かって左側に「愛染明王」の星である北斗七星を、右側には「不動明王」のシンボルの北極星を配置致しました。左側上の黒雲は、四天王の一人黒の「多聞天王」、右側上の青雲は青の「持国天王」、右手下の白蓮華は白の「広目天王」、賢治の心臓の赤は「増長天王」、それぞれを表現しております。
合掌する日蓮聖人の手の中から漏れる光は法華経宇宙の光を表現し、その右手にある宇宙の渦は太陽系の未来を表現しております。
絵画全体を今尚連綿と続くお釈迦様の慈悲の世界と見立て制作致しました。
多くの方々に御理解いただければ幸いです。
平成31年4月1日
画家 塩澤文男